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これは二次元と三次元の間を行ったり来たりしている彷徨い人の、日々の記録である。
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誰もが寝静まった真夜中。
ふと目を覚ますと、耳障りな音が延々と鳴り続いていた。
何かを引っ掻くような、耳と神経にひどく障る、絶妙に不快な音だ。
無視しようにも、音は鳴りやむ気配がなく、夢の世界に逃避する事は難しい。
カリカリ。
カリカリ。
カリカリ。
限界はすぐに来た。
悪態をつきながら羽毛布団を跳ね除け、苛立ちを隠さず乱暴にふすまを開ける。
すると、あれだけ鳴り続けていた音が、ぴたりと止んだ。
そして真っ暗闇の中でうごめいていた気配が、こちらを見た。


「にゃあ」

「うるさいんだよお前の寝る羽毛はないんじゃボケェェェェェェ!!!」


おニューの羽毛布団は、他の布団と違い、猫毛だらけにしてはならないものだった。だっておニューだもの。
しかし奴らにそんな事情は関係ない。
奴らはただ、本能の命ずるままに暖を求め、奪い、蹂躙し、己のものとするだけなのだ。
時と手段を選ばない奴らは、そうしてこれまで数えきれないほどの布団を、服を、人間を、毛まみれにしてきた。
抵抗の意志を殺ぐ事に異常に長けた奴らの前に、我々は何度も敗北し、耐え難きを耐えさせられ、忍び難きを忍ばされてきたのだ。
しかし今回だけは、負けるわけにはいかない。
なぜなら、羽毛布団は、おニューだからだ。
一見無害そうだが、その実、隙を見て部屋に入り込もうとする狡猾なそれを、一瞬早く蹴散らす。
素早く飛び退かれたせいで足は空を蹴ったが、狙いは最初から、攻撃ではない。
開いた距離を詰められる前に、みかんがたんと入ったかごを素早く引き寄せ、隙間をバケツ型のゴミ箱で塞ぎ、そしてそれらをまたいで部屋に入ると、瞬く間に出来上がったバリケードの向こうで唖然としている奴を冷たく一瞥してから、ふすまをぴしゃりと閉めた。
背を向けたふすまの向こうで、「にゃあ、にゃあ」と嘆くような声が、訴えるように何度も上がる。
だが、あの耳障りな音が再び鳴る事はなかった。
溜息をこぼしながら羽毛布団に潜り込む。羽毛布団はまだ温かかった。
外も暗く、今しばらくは安穏な眠りについても許されるだろう。
ぱかりという音と共に、夜闇の中に場違いな明かりが点る。
目を射る光に目を細め、見つめた小型機器の画面には、午前4時と記されていた。
テラ眠い。
こういう中途半端な時間に起こされるのが、一番辛いというのに。
可愛さ余って憎さ100倍とは、この事だ。
ちなみに犯行は、闇に溶け込む麗しの長女ではなく、常習犯である茶トラの次女の仕業なので、愛らしい長女は可愛さが有り余って愛しさ100倍だ。

――こうして本日の私は、寝不足なのである。



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プロフィール
HN:
はざまジロウ
HP:
性別:
女性
自己紹介:
主にGペンと水彩絵具で妄想を形にしているアナログ絵描き。筆の遅さがいつまで経っても解消されない悩みである。
どちらかといえばジャンプ的な少年漫画が好きでジャンルで言えばファンタジーが生息環境。
生粋の猫派で、大好物は格好いい口ひげの似合う格好いいおじ様である。

ちなみにプロフィール画像は、ブログのプロフィール画像表示欄に棲みつく肉食動物で、ウサギ三兄弟の長子「ウサ偽」なので、イコール管理人ではない。
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